レースフォーザギャラクシー

最近はもっぱらこればっかりやっている。宇宙開拓カードゲーム。
仲間内で非常に流行った「王への請願」ダイスゲームのデザイナーによるもの。すでに昨年秋に拡張パック第1弾が出ている。

カード(惑星や設備)を引いて場に配置する。配置コストは手札をディスカードすることで支払う(軍事力パラメータを比較して多ければ獲得できる「軍事惑星」もある)。
最終的にカードに書いてある勝利点と、物資を貿易することで手に入る勝利点チップの数の合計で勝負。拡張パックからはカタンの「ロンゲストロード」「ラージェストアーミー」のようなゴールタイルが追加された。

紹介記事はいっぱいあるので興味のある人はググってもらうことにして、いきなり攻略論について考えたい。
このゲームはカードゲームであるくせに、ドクトリン(大戦略)>戦略>戦術の3層構造がある。
ドクトリンとはつまり経済で行くのか軍事で行くのか、ということである。これは初期ホームワールドや初期手札、序盤の(おもに6コストDevの)引きでだいたい決まる。ドクトリンが定まればあとの考えどころは大きく2点。もちろん何を配置してどういう銀河帝国を作っていくか、という戦略が1つ、もう1つは、ターンのどのフェイズを実行するかという戦術である。

フェイズは各プレイヤーのうちだれか1人が意思表示すれば実行される。意思表示しなかった人もそのフェイズをプレイすることができる。誰も意思表示のなかったフェイズはそのターンプレイされない。意思表示した人はそのフェイズにボーナスの恩恵を受けられる。
とにかくボーナスが得られるのだから、自分のやりたいフェイズを意思表示して行けばよいという考え方もあるが、効率を考えるなら、相手が出してくるフェイズを読んで、それを回避するように意思表示していくほうが望ましい。第1、第2フェーズ(EXPLORE,DEVELOP)は意思表示ボーナスが比較的大きいので自分で選びたい。一方、第5フェーズ(PRODUCE)などは、単発生産惑星(Windfall)を持っていない限りボーナスがないので、できれば他の人の意思表示にのっかりたい。価値の高いWindfall産物と消費能力のある惑星や施設を同時に抱えている場合は、誰かに第4フェーズ(CONSUME)を発動されて本来なら手札5枚の価値のある産物を1VPや1VP+1手札に変換させられてしまう前に売却して手札5枚にしたい。
・・・といった行動の読み合いの部分で、これを意識するとしないとで発展のスピードがかなり変わってくる。
このゲームは基本的にやりたいことはいつか必ずやれるようになっているのでストレスが少ない、といっしょにやったプレイヤーの人が言っていたが、しかし自分のやりたいことを自分の好きな順番でやっているとどんどん遅れて行くのだ。毎ターン平均してすくなくとも1つは何かを立てて行きたい。

基本的には相手の産物状況と手札を見て行く必要がある。相手の手札が少なければ何らかの方法で補充したいと思っているはずで、高価値の産物を抱えていれば高い確率でTRADEを選んでくるはずだ。こちらは勝手に消費されたくなければ合わせてTRADEを出して行くべきだし、あるいは生産か消費に伴ってドローできるのならばそれを見越してPRODUCEを出していく方がよい場合もある。相手が1ターンでは産物を売り切れないような場合で、こちらは毎ターン全産物を消費しきれるのなら、PRODUCEの連発はこちらのアドバンテージとなる。逆に、相手の手札の補充前のタイミングにDEVELOPやSETTLEを出して行くことで、相手は何もできず、自分だけカードを配置できるようなタイミングも狙って行きたい。

とするならば、相手と自分の手札補充、産物補充のタイミングがかぶっているのはいささか都合が悪いということになる。あるいは、かぶっていてもかまわないが、それぞれの能力で相手を上回っていなければならない。
であるから、戦術で優位に立とうと思うなら、相手の序盤の行動から戦略を推し量り、こちらの戦略を調整して行く必要が有るのである。

相手の戦略を読むためには、そしてそれに対応できる自分の戦略を組み立てるためには、まずこのゲームシステム上でどのような戦略が組み立て得るのかを知っておかなければならない。

このゲームの大戦略は大きく2通り、もちろん軍事戦略と経済戦略の2パターンである。もちろんミックスも可能だが、必要なフェイズの種類が増えてくるのであまりうまく運用できるとは思えない。どちらかに徹底した方がよさそうだ。

もし軍事戦略をとるなら、考えるポイントは2点だ。どのように軍事力を高めるか、どのようにして征服先を確保するか、である。
軍事力上昇の方法は限られている。「宇宙海兵隊」「ドロップシップ」といった装備改良と、エイリアンの軍艦や艦隊などの鹵獲だ。「新軍事戦術」による一時的な攻撃力ブーストは可能だが、これを使用するときは必ずそれによって恒久的な軍事力向上ができなければ先が続かない。
また、征服先確保について、探索による方法と、戦利品売却による方法がある。探索能力のある惑星や設備は総じて軍事帝国と相性が良い。最終的には6コストDevの「SETI」を出すことで勝利点のブーストがはかれる。いっぽう、探索はそれほど行わずとも、エイリアン遺物や知性化種族の遺伝子を売却することで財源確保していく方法もある。この場合、生産はいちいちしていられないので、Windfall産物をもつ惑星を狙って落として行くことになる。こちらがTRADEを選んでいないのに勝手に産物が消費されて行かないよう、消費能力のあるカードは配置しないように気を配っていなければならない。
エイリアンは軍事ワールドが多く、鹵獲による軍事力向上も望め、Windfall産物が多いことから軍事帝国とは非常に相性が良い。「異星技術研究院」と「銀河新秩序」のコンボが理想的だ。
または、銀河帝国を樹立してひたすら反乱軍を探索して制圧して行く方法もある。この場合は軍事力については銀河帝国のボーナスでほとんど心配しなくてよくなるので、反乱軍拠点を見つけ出す探索能力に力を割いて行くことになる。
また、「遺伝子研究所」があればUPLIFT種族の遺伝子から継続的な収入を得られるようになるので、他人のPRODUCEに便乗して産物を確保していける。
軍事系はこれらのミックスによって戦略を組み立てて行くことになろう。

もちろんエイリアンや反乱軍の軍事惑星はコストに対して非常に勝利点が高いので積極的に狙って行くべきだが、得点はあまり気にせずとにかく毎ターンカードを配置し続けて逃げ切りを狙うのも良い。経済系戦略は消費システムが動き出すまでは基本点が低いので、その前に12枚立てきってしまえば20点台前半の勝利点でも勝ち目はある。6コストDevによる得点ブーストがあればさらに心強い。
このことから、拡張パックによって「改良兵站」が出たことの意義は軍事帝国にとって非常に大きい。「改良兵站」が配置できた場合は、高得点カードに固執せず、安価なDevと合わせてとにかく毎ターン2枚以上を配置して行くことを目指すべきだ。「星間銀行」「投資貸付」の両配置でDEVELOPでも常に何か立てられるようにしたい。

だいぶ長くなったので経済戦略については次回。