小堺 桂悦郎「なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?」


面白かった。

会計(というか中小企業の資金繰り)まわりのエピソード集というか与太話集っぽい感じであり、会計「入門」としてはどうかと思う。位置的には「女子大生会計士の事件簿」と同じような感じ(実話ベースな分だけナマナマしい感じがするけども)。

会計を学問としてはかじってみたけど、それってつまり会社(あくまで中小企業)にとってはどういうことなの、というのがピンと来ていない簿記3級くらいの人には大変よろしいと思う。一生サラリーマンでいて経営者とかと話をしたりする機会はなくていいや、と思っている人にはまったく向かない。

あと、語り口が「〜〜じゃないすか」系のいわゆるブログ文体で、読み物として気楽に読めてふつうに面白いという点で評価したい(他の書評を読むとこの文体が「日本語じゃない」として評価下げてる人もいるようだけれど)。「はじめに」で書いてあるように、「娯楽小説」として読むべきものじゃないかなあと思う。

結局「なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?」を明言したページがなかったような気がする(読んでいくとなぜかはわかるけど)。というかそもそも、タイトルはこうであっても、きちんと「なぜ?」の問題提起をしてその解明という検証本スタイルをとっているわけではない。ので、タイトルに引かれて、なんか体系的な説明がされるのかと思って買った人は損したと思うだろうなあ。
そのへんはやっぱり「〜〜か?」系会計本の元祖であるとこの「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」が徹底していてよかったよなあ、と思ったことではある。


さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学
山田 真哉
光文社 (2005/02/16)
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